制作プロジェクトHaLoを主宰するayakoが、音楽、写真などHaLoとしての活動について、また、mac、旅、映画、本、猫、食べ物、気になったニュースなどについて、徒然に綴ってます。


by ayako_HaLo
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自然農法『わら一本の革命』福岡正信著

思い起こせば数年前から、回りに「ガン」という病気を患った人たちが次々に現れ、そのうちの何人かが「生還」するという喜びを得たり、亡くなってしまうという悲しみに満ちたりして来た。原因は色々なことがあるのだろうから「どうして」とか「どうすればいい」という結論も答えも当たり前ながらない。ただ個人的にはそのお陰で、ある人が採ることになった食事療法の「食べていいリスト」「出来るだけ食べないリスト」「食べてはいけないリスト」というものを見せてもらったところから、実は病気とは離れたところで「自分が口にするもの」に向かう意識の量が加速した。

それまでも自炊はしていたし、「栄養のバランス」みたいな学校で習った知識はあるものだから、インスタント食品ばかりとか、ファーストフードばかりだった時期があった訳ではない。ましてや食べることは好きだし興味はあるし、スーパーで買った食品で「普通」に食事を作り、食べていた。恐らく「保存料」とか「着色料」などの添加物は、何となく気になり始めていたような記憶があるけれど、定かではない。

ちょうどその時期に『家庭で出来る自然療法』東城百合子著に出会う。これは実家に帰った時にたまたま母が手に入れていて、読みふけっているうちに自分でも数冊購入し、タイミングの合った友人たちにもプレゼントした本。この時は、それまで知らなかった「おばあちゃんの豆知識」「日本のハーブについて」学ぶことが出来たのを喜んで、食事を玄米菜食に近づけてみよう、と思うにとどまっていた。

まずは台所の調味料を少しずつ変えて行く。
スーパーで買っていたお味噌やお醤油、本来ならば「発酵食品」であるはずのこれらの調味料がきちんと発酵させずに「見せかけだけ」「時間を節約して」作られていることを知り、だからこそ「安く」「大量に」生産できていたのだと合点がゆく。それ以外の「みりん」「お酒」も同様。そして、全てのものを出来るだけ「精製」されていないものへと変更してゆく。「化学調味料の一掃」「自然塩」「黒糖」。一つ一つ空になったものから、少し値段は高くなっても、次に買い足す時に変更を加えて行った。一度にはやれないと思ったから。

そして、調味料の移行が済んだとき、初めて素材になる食品自体に手を出した。ベランダプランター農園をやっていたわずかの経験の中から、無農薬有機栽培で野菜を作るというのは、虫を捕ったり、堆肥を作ったり、草を取ったりと色々手間がかかり、収穫量が減ってしまうものと信じていた。「自分にとっても、地球にとっても」無農薬で栽培すること、無農薬で栽培されたものを口にする方がいいはずだから、食費が上がっても「無農薬栽培の手間と労力を取って下さっている農家の方のサポートだ」と思って来た。値段は、だいたい2-3倍。

この辺りまで来て、自分の中では色々な疑問や、自分の中で上手く説明できないことが増えて来る。無農薬有機栽培と呼ばれているものの中に「いんちき」が含まれていたり、中間マージンで値段が跳ね上がっていたり、「隣の畑の農薬まで排除できない」「地面が汚染されている問題」は、今日はちょっと横に置いておく。

まず、この2-3倍の食費を出せる人、というのはどういう人か、という問題。私は、自分の家の食品の移行作業にかなり優先順位を上げて取り組んだし、決して金銭的に豊かな状況とは言えないまでも、他を削って(化粧品は使わな〜い、お洋服もいらな〜いなどなど)その分を食費に充てることで何とかやって来た。けれど、食べ盛りのたくさんの子供のいる家庭や、他を削っても収入が本当に限られている家族は、それを「口に出来ないかもしれない」けど、いいのか?

また、仮に「無農薬栽培」の食品を誰もが手に入れることが出来るように生産側もシフトし、消費者側も少しだけのコスト高を受け入れる努力をした場合、「生産は足りるのか?」という疑問。「無農薬野菜」は現在は一部の人たちだけが食べられる量しか存在しないはずで、その他大勢の人たちが、農薬も化学肥料も使った上で「大量増産」されているもの、石油などで合成されているものを食べてくれているからこそ食糧難を逃れているのではないのか?

実はこの二つの問題は、私の中では長いことかなり大きく燻っていた。長い目で見たときに「数世代先の子供たちの為に」「地球にとって」無農薬の方がいいと直感するものの、全体として成立するかどうか、というところがいつも引っかかっていて、「自分のため」に「自分だけ」が食べる特権を使っているようで苦しかった。

そして自分なりの一つの解決方法が、今年に入ってから加速した「粗食小食」。「食べなくてはいけない」という思い込みを一度取り払い、食べる量を一時期の1/3から少なくとも1/2に減らしたこと、元々少ない外食の機会をさらに減らしたことで、実は私の家の中では全体としてみれば食費は元の水準に戻っている(もちろん、家計簿なんて私がつけている訳はないから、体感値ねw)。これも考え方の転換。

これで(つまり、他の人たちも粗食小食になったら、という、まぁ、すぐには現実的ではない仮定)、もしかしたら無農薬有機栽培で収穫量が全体として減ったとしても食料は足りるかも知れないと少し前向きに考え初めていた時に、そのタイミングで私は先月(2005年5月)「自然農法」というものに出会った。何だかほっとした。そして、これも考え方の転換だった。

「自然農法」というのはもちろん無農薬栽培だし、有機物だけで育てるという意味では「無農薬有機栽培」の範疇に入ると思うけれど、私が思い込んでいた「手間がかかる」「収穫量が減る」「虫との闘い」の全てに答えが出ている。「手間はよりかからない」し、「収穫量は減らない」し、「虫とも草とも闘わない」のだ。自然の生態系の中で採れたものを「いただく」のだから。また、肥料もほとんど施さない。肥料を与え(過ぎ)ることにより、作物の味が落ちたり、腐りやすくなったり、ある一定の虫の大量発生や病気を引き起こしたり。人間界の「過剰」状態と同じかもしれない。詰め込み/詰め込まれ過ぎ。単一作物/分業化の進み過ぎも、大いに生態系のバランスを崩しているから今まで違和感を感じていたのかもしれない。これまで頭の中で苦しんでいた私にとってはかすかな「希望」の光。もちろん、すぐにそこにたどり着けるのかどうかは、本を読んだだけの現状では未知数だけれど。

この本は、具体的に「自然農法」を指南するhow to本では無い。何故「自然農法なのか」「人間は」という哲学書だと受け止めた。「どこで日本は間違って来たか」。書かれたのは1983年だから20年以上前なのに、古くなっていない。これは、ある意味では悲しむべきことで、その後、20年何やって来たんだ?ってことでもある。でも、20年経ってようやく私みたいな「遅い」人のところにも届いたわけで、万一20年前に出会っていても中学生だか高校生の私にはきっと全く理解できなかったはず。全く私自身には縁がなかったとはいえ世の中の「気分」的にバブル直後の10年前でもまだ怪しい。

これだけ「省力」であるならば、「売る」野菜も、値段を上げなくて済む。また、個人も、場所さえあったら、自分の食べる分くらいは栽培できるかも知れない。そんな希望を持たせてくれた。また後で書くけど、7月30日から東京で上映が始まる『SPROUT』という映画とも相まって(映画自体は「農」という意味では全く関係ないけど)、私の心には「今」届いた。また別の時期に読んだら「もっと深く届く」気がしている。キーワードは「自然人になること」。何度も何度もスパイラルのように同じことを少しずつ学んでいるんだろうな。今まで、何でやっているのか分からないながらやっていたり、体が感じていたことが「あ、そういうことだったのかな?もしかしたら…」という部分がたくさん。彼の本は他のも読んでみるつもり。

自然農法『わら一本の革命』福岡正信著
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Tracked from from ayako at 2005-06-22 12:57
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Tracked from from ayako at 2005-07-05 14:11
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Tracked from from ayako at 2005-07-05 14:12
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Tracked from from ayako at 2005-07-05 14:12
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Tracked from from ayako at 2005-07-06 12:55
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Tracked from from ayako at 2005-09-15 17:27
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Commented by 一般法則論者 at 2008-08-19 18:48 x
 自然農法の理論づけを、別の方法で・・・
  一般法則論
by ayako_HaLo | 2005-06-22 12:25 | books | Trackback(9) | Comments(1)