「行かなそう」or「行かなさそう」?
2006年 02月 15日
タイトルにした「行かなそう」と「行かなさそう」どっちが正しいでしょう?
実はコレ、たまたま見ていたテレビ(NHK)で昨日やっていた。細かいことは忘れてしまったけど、ちょっと思い出しつつ書いてみる。
「+そう(だ)」を色々な品詞につけることによって推量を現す形容動詞になる。
形容詞:美しい --> 美しそう 「い」を落として「+そう」
例外;「良い>良さそう」「無い>無さそう」 「い」を落として「+さそう」
形容動詞:楽だ --> 楽そう 「だ」を落として「+そう」
動詞:食べる-->食べそう 動詞の~ますをくっつけられる形「+そう」
くせ者なのが「ない」という言葉。
「ない」が形容詞だった場合。つまり存在が「ある」か「ない」かの場合。形容詞の例外にもあるように「い」を落として「+さそう」になる。例えば「延長戦はなさそうだ」になる。
これに関連して「名詞+ない」で形容詞が作られている場合。「頼りない」「情けない」など。これらも意味的に「ある」か「ない」かの話なので形容詞の例外に含まれ、「頼りな+さそう」「情けな+さそう」になる。
語尾が同じ形容詞なので、紛らわしいんだけど、「切ない」「汚い」などは、「有る/無し」に関わらないものは、形容詞自体のルール適用で「切なそう」「汚そう」。
ここまでは、ルールはちと複雑だけど、私も納得。
で、問題の助動詞の「ない」の場合。
動詞の未然形に否定の助動詞「ない」がつき、推量の「そう(だ)」がつくとき。
行く:「行かなそう」か「行かなさそう」か
食べる:「食べなそう」か「食べなさそう」か
する:「しなそう」か「しなさそう」か
居る:「いなそう」か「いなさそう」か
聴く:「聴かなそう」か「聴かなさそう」か
自分の語感では、「あれ?どっちもありなの?」というのが第一印象。その上で、もしかしたら「ホントは「さ」が要るのに、省略し始めてるのかなあ」という「ら抜き言葉」と同じような仕組みか?と思ったのだけど、答えは「さ」が入っていない方「行かなそう」が正解。私の語感は間違っていた。しゃべる時はほぼいつも間違っていたようだなあ。
ただし文化庁が調査したところによると、半数以上の人たち(確か51%)が「さ」が入っている方「行かなさそう」を正しいと答えていて、「行かなそう」を正しいと答えた人は40%を切っていた(確か38%)。元々のルールとどっちが正しいと感じているかが逆転している現象。事実、辞書によっては「行かなさそう」とも言うと書かれているのもあるそう。こうやって言葉は変わってゆく。面白い。