重曹とグリセリン+液体洗剤で染み抜き実習02
2005年 07月 22日
実習に行く前の日に、「シミの付いたハンカチ」を用意した。左上から時計回りに「ドリップしたコーヒー+その粉」「ケチャップ」「醤油」「油性マジック(マッキー)」前の日にシミをつけて乾燥させたから、念入りなシミ。
染み抜き作業に必要なもの:
染み抜き剤(重曹、グリセリン、液体石けん、40度くらいのお湯があれば作れる)
染み抜き剤を塗る刷毛
シミ取りしたい布の後ろに当てるタオル
シミ取り剤を布地にトントン叩き込む「ささら」
洗濯機
クエン酸
「ささら」というのは、中華鍋などを洗う時に使う竹製のタワシみたいなもの(参加者の中にお寿司屋さんがいらっしゃって、彼はこのささらで魚の内側を洗うんだそう)。シミ取り剤を布地に馴染ませたり、汚れをたたき出したりする役目をするのだと思う。昨日書いた親父さん(mixi内のページ。インターネット上のページ。そろそろ息子さんに完全に引き継がれるらしいマツミヤクリーニングのページ)が、ささらも持って来て下さって、実習終了後にいただいた。合羽橋など道具屋さんに売っているらしい(100円ショップにも小さいのがあるとか)。これはかなり大きなサイズだけど、小さい「ささら」を持参されている方がいて、それも使いやすそうだった。
1、まず染み抜き剤のブレンドを作る。
(↓親父さんレシピを実習の管理人さんがまとめたもの)
親父特製ブレンド染み抜き剤 (約500ml)
・35~40℃のお湯250mlに重曹37.5mlを加え溶かす
・グリセリン250mlを加える
・中性洗剤30mlを加える
このブレンドは一度作っておけば(PP(ポリプロピレン)かガラス製の容器に)保存しておいて、次に使う時に35-40度に「湯煎」して使える。これが一番「働きがいい温度」というのは、実習中に見ていてもわかったから、「温度」は大きなポイント。人肌。
2、シミがついた布の下に、タオルを当てがい、まな板やテーブルなど平らな台の上に乗せる。(シミはこのタオルに移る。でもタオルについた汚れも洗濯で落ちるので大丈夫)
3、刷毛でブレンドした染み抜き剤を塗る。優しくしみ込ませる感じで、くるくると。塗っている間に既に汚れが浮き立って来るのがわかる場合もあり。
4、「ささら」でシミの部分をトントン叩く。染み抜き剤を馴染ませ、汚れを浮き立たせるためと思うので、必要とあれば、優しく手で揉んでもOK。(毛羽立つ繊維の場合は裏からやるといい)
5、用意したバケツですすいで、様子を見る。
まだしつこいシミが残っている場合はこの行程を繰り返す。
また、グリセリン、重曹の濃度を上げて試してみる。
ある程度まで落ちていたら、この後洗濯機で洗ったら完全に落ちる場合もあり。
(洗濯機に使用するブレンド比率はこちら。同じく親父さんレシピを管理人さんがまとめたもの)
洗濯洗浄液 (水量約50Lで洗濯機洗いの場合)
・35~40℃のお湯50Lを洗濯機に満たし、重曹30mlを加え溶かす
・グリセリン20mlを加える
・中性洗剤60mlを加える
・すすぎ時は、45mlのクエン酸を投入すると良い
ここまでの行程で、他の人たちが親父さんの「スーツ」で実験させてもらった「口紅」「ウォータープルーフマスカラ」「ソース」「ファンデーション」「アイシャドウ」「ボールペン」などは落ちた。始めなかなか変化がないように見られた「ウォータープルーフマスカラ」が浮き出して落ちて行ったときはちょっと感動。
で、私の実験ハンカチはどうなったかというと、ちょっと時間はかかったものの、「マジック」以外は完璧に落ちた。「マジック」もホントにどんどん退色して行き、かなり薄くなったものの、形が残った。
本来なら、そこまでの成果を写真に撮って見せられたら良かったんだけど、あいにくこの日はバケツやらハンガーやら懇親会用の「いなり寿司」やら持っていて荷物が重かったのでカメラを持っていなかった。なので、シミ取り剤だけで「コーヒー」「ケチャップ」「醤油」はクリアーしたって私の言葉を信じてもらうしかないんだけど、残ったマジックをどこまでクリアーできるのかな、と思って、その後親父さんに次々に色々なものを試してもらった。
まず、「酸素系漂白剤(過炭酸ソーダ)」。ぬるま湯よりも少し高い温度、手が入れられるギリギリの温度に粉末の酸素系漂白剤を溶かす。その中でもみ洗い、浸け置き。(もう一つ持って行っていた「いつどこで」ついたのか、何のシミかもわからないような、これまで何回洗濯しても取れなかった丸いシミ(カレー+油か?)はこの段階で完全に落ちた。また他の人が持って来ていた本来かなり落ちにくいとされる「時間のたった赤ワインのシミ」もここでかなり目立たなくなるまで(着用可な感じだった)に落ちた)
しかし、マジックは落ちない。薄くなるけど落ちない。結局最終手段の「塩素系漂白剤(ハイター)」を60-70度の熱いお湯に溶かして漬け込む。
そして、出て来た結果がコレ。形が残ったんだよね。それで、親父さんが最初から言われていたことを思い出す。「墨汁、墨、ペンキなどは完全には落ちません。」そうなのだ。油性マジックも墨汁やペンキと同じ「落ちないように作られたものたち」。本来洗って落ちては困るものなんだ…。「落ちないようにする技術」と「落とす技術」の闘いだ。という訳で、とことんまでやってこの結果に満足したわけだけど、さすがは塩素系漂白剤の強力な漂白力。ご覧の通り、実習前と比べると、タグの色が変わっている!!緑だったのに青になった!この辺りの仕組みもわかったら面白いな〜。今作っている3枚目のアルバムのタイトルが"green"(緑)で、一応ここで色彩シリーズは完結させようと思っている。その緑から、漂白剤で1枚目のアルバムのタイトルの色"blue"(青)に戻っちゃった。黄色い色素が抜けたってことなんだろうな。
実習にいらっしゃっていた方たちの中には、着物を持って来ていらっしゃる人たちもいたし、親父さんはスーツをぐちゃぐちゃのシミだらけの実験に差し出されたし、「普段水に浸けてはいけないと思っていたもの」が結構あった。もちろん染めの弱いものなどは特に「色落ち」の心配がゼロではないから、目立たないところでこの「染み抜き剤」の反応を見てから全体を試した方がいいけれど、水に浸けてはいけない布地素材というものは「元々は存在しないはず」というのが親父さんの持論。私も今度は「縮まないように」考慮しつつ(グリセリンが入っていることで40度のお湯で洗っても縮まないそうなのだ!+すすぎのクエン酸リンス!)ちょっと涼しい日に純毛のキャップを洗ってみようと思う。(ウールの怖いところは縮んじゃったら戻らないところよねぇ)
グリセリンという物質は親水性と親油性の二つの側面を持ち、水に溶け出す汚れも油に溶け出す汚れも浮き立たせてくれる、という特徴を持つらしい。
実習に使用した重曹、グリセリン、クエン酸、液体洗剤クリオは、昨日書いたように、この実習にも顔を出して色々と教えて下さった木内クリーニング店(東京)で入手可能。もちろん親父さんのところ(大阪)でも入手可能。重曹、グリセリン、クエン酸は他の入手方法もたくさんあるはず。
そして、この重曹染み抜き実習の内容を実習後に「重曹研究会」の管理人さんが、ドキュメントファイルにまとめてアップして下さっている。ここをクリックすると自動的にファイルがダウンロードされるので、必要な人は受け取ってください。私みたいに余計な感想とか思いとか入ってないし、絵入り、写真入り。よくまとまってます。