中国揚琴奏者 張林コンサート@アノマ(根津)
2005年 07月 25日
揚琴というのは、ご覧の通りテーブルハープで、通常は「スティック」で弦を叩くことによって音を出す楽器。通常は、と言ったのは張林はそれ以外の方法でも音を出していたから。写真は本番の前に調弦しているところ。右側に大きくチューニングするためのペグ(と呼んでいいのかな)があり、左側は「微調整」を行う為のもの。ちょこちょこと触って音を合わせていた。また、左手にはいくつかの弦を「半音」変えられるレバーもついている。
ハンマーダルシマと同じように起源はペルシアの「サントゥール」と言われていて、ヨーロッパに渡ったのがハンマーダルシマになり、シルクロードを渡って中国にたどり着いたのが「揚琴」(日本語では「ようきん」というけれど、中国語からカタカナに直すと「ヤンチン」というのが一番近いかな)。そして彼の話によると、元々は「洋琴」(つまり外来もののお琴)という字で著わしたそう。中国の楽器の中ではかなり新しい方に入る楽器で(と言っても500年ほどの歴史!中国史の中では500年は「新しい!」)、確固とした「伝統曲」というものの数が他の中国楽器に比べると格段に少ないので、彼なんかはそれを逆手に取って、色々な音楽を彼なりに消化吸収して演奏しているということだった。つまり、色々な音楽に対しての対応力もあるということ。
スティック(ばち)の先の部分。ハンマーダルシマが木のスティックで先の部分はマレット状になっているのとは対照的に、揚琴は「竹」でできたスティックで叩く。元々は全体が竹製だったそうだけど、今は先の方(弦を通常叩く面)に、別の固い木の素材を組み合わせ、更にその全体をゴム(旧式の自転車のゴムチューブから作るのが一番いいらしい!)で覆ってある。このスティックだからこその音の柔らかさであり、軽さ故の瞬発力。竹の部分に丸い穴が空いているのは飾りかと思って聞いてみたら、近代になってからスティックの先の部分叩くの面に別の木が足された話をしてくれて、そのことによって「重くなってしまった」その重さを調節する為の穴だとか。触らせてもらったけど、ホントに軽いの。
こちらはスティックの柄の部分。ホントに薄い柄なのに模様が彫り込んであるところが何だか素敵。壊れやすいだろうなぁ。このスティックで5-6年ほど使っているものだそう。新しいスティックはまだ「青い」(青竹)時もあるそうだ。そしてスティックを作るのは「古く」て「ぶ厚い」竹がいいらしく、なかなか素材を手に入れるのが難しいらしい。厚みがあって節と節の間隔がちょうどいい「足踏み竹」をお風呂屋さんで見つけた時に「譲って下さい!!」とお願いしてしまったこともあるとか。
スティックの下にスティール弦が見えているけれども、低音弦は一本(のところもあったと思ったんだけど、今別のページをちらちら見たら、低音弦は二本って書いてあったから私の勘違いかもしれない)、音が上がって行くに従って二本、三本、四本、五本まで本数が増えて行く。複数弦がある場合は、もちろん全て同じ音程に調弦してあった。
演奏者側から見た揚琴。何と言う名前かわからないけど、各弦を途中で支えている柱の数や位置がハンマーダルシマとは違っている。音の並びがどうなっているのかまでは解明できず。次回またゆっくり見せてもらおうと思う。
一番前の「かぶりつき」で全くマイクも何も通さない「生の」音を聞かせてもらえて幸せ。私はオープンチューニングの弦の響きが大好き。体がゆるゆると緩んで行く気がする。弦と一緒に振動しているんだろうな。張林は7月7日に新しいアルバム「弦外之音」も発売。柔らかいゴム面で叩いた音とともに、裏側の竹面で叩いたきらびやかな若々しい音も楽しめる。
コンサートが行われたアノマでは、時々お茶会、ミニ茶会という名前で、お茶を飲み比べたり、音楽を聴く楽しみとセットにしたり…という企画もされているようだ。写真は昨日いただいた点心。蒸したてのぷりぷり。
こちらは、ホームページの「お茶の種類」というところで見ていて、お店のメニューにはなかったけれどもお願いした「野生茶」。「モチノキ」の葉っぱだそう。「苦いですよ。暑気払いなどにはいいし、経験としてはいいけれど、おすすめはしない」って言われたけれど、それほどきつい苦味でもなく、さっぱりと美味しかった。