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制作プロジェクトHaLoを主宰するayakoが、音楽、写真などHaLoとしての活動について、また、mac、旅、映画、本、猫、食べ物、気になったニュースなどについて、徒然に綴ってます。


by ayako_HaLo
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自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野

これは、ワークショップのレポートとしてまとめたもの。このページに掲載予定のもの

9月11日(日)
9:30-11:00「パーマカルチャーとセルフケア」ワークショップ
「農業実習」臼井健二

薄曇りの朝。
自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11402339.jpg全員で農作業器具を宿泊施設から農園に運ぶ。一輪車二台、鍬、シャベル、ポット苗、種、(菜種油で動く)草刈り機。たどりついたのは自然農の畑。草が一面に生え、その中に「野菜」が顔を出しているところもあれば、埋もれているところもある。

一面、草が生えている場所で、まず臼井さんからの最初の言葉「どうやって種を蒔きたい?」参加者の一人が答える。「ば〜ってそのまま蒔いちゃう」。
そして、その言葉通りの実践。

[イチバン原始的な方法]
講師の臼井さんがミレーの「種を蒔く人」のように金だらいに入っている「野沢菜の種」を膝から股ほどの高さもある草が生えているところに、ばんばんまき散らす。そして、そこに生えている草を根元から刈り込み、その場に倒して行く。

自然農の一つの基本:「草を敵にしない」
排除して取り去ってしまうのではなく、取り込む。種を蒔いた上に草を根元から切って倒すことにより;
1) 地面の乾燥を防ぐ/適度な湿度を保つ
2) 太陽光が直接当たらなくなったことにより、その場所に更なる草が生えて来るのを押さえる
3) 草はいずれ土に還り、腐葉土となり、肥料になる

この「草に対する考え方」は全ての基本となる。

注意:この[イチバン原始的な方法]が使えるのは、大量に蒔く種があるときで、秋蒔きの時だけ。春に同じことをやっても、春から夏にかけては「草の勢いが強い」から草に負けてしまう。


[粘土団子を作って蒔く方法]

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11415357.jpgたくさんの種類の袋入りの種を、一輪車にどんどん空けてゆく。実は最初、袋入りの種が大量に出て来た時はちょっと不思議な気がした。どうして「自家採種」の種ではなく「売り物」の種なのだろう…。でも、その疑問にはすぐに答えが出た。これらの種は、「買って来たもの」ではなかった。通常種の袋には「消費期限」というものが印刷してある。そして、その消費期限をすぎた種たちは、種やさんからはゴミにされてしまうのだと言う。今日、ここに段ボールいっぱいあった種は、それらをまとめて「いただいてきたもの」だった。「廃棄物の有効活用」。これもパーマカルチャーの考え方の一部。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1144526.jpgごちゃごちゃに混ぜられた種を粘土にくっつける。本来の福岡正信さんの提唱されている粘土団子の作り方では、一つの粘土の中に3粒ほどの種を入れる、ということらしいのだけど、福岡さんの方法では粘土の固まりに種をくっつけるような方法は取らない。粘土と種を撹拌して、団子状に押し出す方法を取られていたと思うので、彼の考える「省力という概念」の方に忠実になれば、3粒ずつ、なんて数の話より、どれだけ簡単か、という方が大切、ってことなんだと思う。ここではもっと大胆に、粘土に種をくっつくだけくっつけてそれを内側に包み込んで団子を作る。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1144183.jpgそれを畑に好きなように投げる。粘土を作ってはどんどん投げる。これは、単純に楽しい。遊びだ。そして、遊びの要素はいつも必要なんだと思う。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11445458.jpg種を包んで、地面に着地した粘土。粘土は種に水分を与え、乾燥を防ぎ、鳥たちから種が全て食べられてしまう事から守る。この団子たちの中から、何がどこで芽を出し育つのか、ということを想像し、見守ることを考えるだけで楽しい。


[鍬で種まきを助ける方法]

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1146415.jpg鍬で地面の表面を薄く剥がして行く。雑草の種があるとすれば、それは表面にあるはずなので、野菜の種が雑草の種と競争しなければならなくなる可能性を下げてやる。表に出て来た土は、土と土の固まりが密接なので、少しだけ中に空気を入れてやる。種が入って来る余地を土に作ってやる。これが「耕す」ということであり、そこら中を全部掘り起こしてかき混ぜてしまうことでは決して無い。そこら中をかき混ぜて本来の「繋がり」まで断ち切ってしまったら、雑草の種も同じように撹拌してしまうことになり、かえって雑草と「戦わねばならない」状況に陥る。うまく雑草の種を避けてやるこの方法の方が、雑草の生えて来る確率がぐっと下がる。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1148981.jpg種を蒔く。ぱらぱらと。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11491250.jpg蒔いた種に薄く土を被せてやる。この土はどこから持って来るかと言うと、種まきをする土の境目のところに鍬を入れて少しだけ持ち上げ、雑草の種の含まれていない5センチほどの深さのところから。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11503648.jpg鍬で押さえて馴染ませる。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11514339.jpgそのまま土を裸にしておかないで、近くにある草を上から被せておく。これで適度な湿気が保たれ、水まきをする必要はない。

概念としては、これが基本的な「種まき」になるかと思う。後は、鍬を使わない場合の鎌で草を刈り込みながら種まきをする方法もあるが、やることは基本的に同じ。


[対象区に苗を植える]

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1152110.jpg二列分完全に耕してある土にポット苗を植える。苗はキャベツ。キャベツという植物は自分でどんどん大きく広く葉を広げ、自分が吸収するのに必要な周りの土から他の雑草が生えて茂るのを自然に防ぐ。そうしておいて花芽を作り、種が出来て地面に落ちる時には、次の命の栄養になる成分に自分自身の体が変わって朽ち果て、種の成長を助ける。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11563912.jpg外葉を広げ、内側の葉が巻いてゆくのを助けるキャベツ。

苗を定植する時は、ポットと同じ大きさの穴を掘り、その穴に先に水を少し与えてから苗を植え、周りの土で軽く押さえる。


[チキントラクター]
自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11575117.jpg簡素な作りのこの鶏小屋は、可動式。中には二羽のメスの鶏がいた。鶏の役目;
1) 卵を与えてくれる
2) 台所から出る生ゴミを入れておくとその生ゴミを食べて処理してくれる
3) 食べたものをふんとして土に落とし、鶏糞は肥料となる
4) 爪で地面を引っ掻き回す習性から、地面の糞と土をかき混ぜる役割を果たす
5) 鶏小屋の場所を移動させることにより、除草+土作りの役割を果たす


自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1225189.jpgこれらの自然農の実践を見た後、圭一さんの口琴とAKOさんのホーメィの共演を、さっき粘土団子を蒔いたばかりの畑の中で聴く。後ろではトラクターの「耕す」大きな音。前には空と風に溶け合い混ざり合う音の波。どちらがより気持ちのいい音かということは、耳を澄ませばすぐにわかるはず。

自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11541752.jpg自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_11554485.jpg自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1251298.jpg自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1244977.jpg自然農の農業実習@シャロムヒュッテ安曇野_b0024339_1252350.jpgどこまで「手を加えなくて済むか」を考える。
敵を作るのではなく、抱え込み味方にする。
廃物を利用する。
60点でヨシとする。
完璧を目指さない。

持続する為の智慧。

畑の恵みの美しさ。
by ayako_HaLo | 2005-09-15 12:19 | plants/farming