『つつじ』姜恩喬作/茨木のり子訳
2006年 02月 21日
私はそれほど詩集を読んで来たわけでもないし、詩集を読むのが大好きってわけでもない。それでも彼女の詩の視線にとても心惹かれた。しっかりとまっすぐ射抜かれるようだった。
彼女の本の中に「韓国現代詩選」というものがある。50歳を過ぎてからハングルを学び始め、ハングルの詩を日本語に訳してまとめられた本だった。私はこの本の中にあった茨木さんが訳された一遍の詩「つつじ」(詩:姜恩喬)に惹かれ、自分で曲をつけさせてもらって2枚目のアルバム"yellow"に収録した。
去年の11月に久しぶりにライブで歌う機会があったのだけど、その時も、何人かの方の耳にこの歌は残ったようで、終わってから詩の中に出て来る「タルレタルレチンダルレ」というのはどういう意味ですか?と聞かれたりした。チンダルレというのは日本語に訳すと「つつじ」ということ。けれど、写真を見てみると私のイメージした、日本で見るつつじとは少し違うみたいなんだな。いつか4月にチンダルレを見に行きたいと思っている。
茨木さんにはいつかどこかでお会いできるような気がしていた。お会いしたいと思っていたから、どこかで繋がることもあるかも知れないと思い続けて来た。それが、今日聞いた訃報によって、お会いすることが叶わなくなってしまった、と知らされた。
ニュースによるとご本人の意思により、お通夜も告別式もなされないそうだ。亡くなったのも病院のベッドではなく、ご自宅でひっそりと、ということだったらしい。心からご冥福をお祈りするとともに、また近いうちに「つつじ」をどこかで歌う機会を持ちたいなと思う。生前にお会いできなかった茨木のり子さんへの思いを込めて。
たくさん素敵な詩はあるけれど「倚りかからず」、「わたしが一番きれいだったとき」、「自分の感受性くらい」が特に心に残っている。機会があったら接してみて欲しいな。今日は一人でお通夜です。
中日新聞社会面
詩人茨木のり子さん死去 79歳、「櫂」創刊者
四国新聞社訃報2月20日
茨木のり子さん死去/詩人
読売新聞
自立した知性で見つめた戦後日本、茨木のり子さん死去文化2月20日
デイリースポーツ
詩人の茨木のり子さんが死去
など